ヴィーガンは乳製品を食べないので、チーズ好きのわたしは切り替え時に少し残念に感じました。
味覚はすぐに変わるので問題はありませんでしたが、パスタやミネストローネにパルミジャーノをかけるという習慣を変えるほうが難しく感じました。
わたしと同じような方もいるのではないでしょうか。
そんなときに、このヴィーガン「パルミジャーノ」をかけてみてください。
味は本物とはまったく違いますが、これはこれでこくが出ておいしくなります。
わたしはイタリアの思想家の研究のため、1990年代に3年間ローマに滞在していました。
その間に、ローマ料理をはじめイタリア各地の料理についてもずいぶん学びました。
イタリアは統一国家の歴史が浅いため、各地域の独自性が強く残っています。
人々は「イタリア人」である前に、「ローマ人」や「ミラノ人」であるという意識を強く持っています。
食べ物についても、「ローマ料理」「ミラノ料理」といった地域性が強く、そのうえ各家庭の味があります。
朝の通勤電車のなかで、知らない人同士、老いも若きも性別も関係なく、自慢のレシピについて口角泡を飛ばしながら激論する光景を幾度なく見ました。
そんな地域柄なので、地元産のチーズは譲れないポイントです。
そもそも食に妥協しないので、「これは~じゃない」などとよく言っているのを聞きました。
なので「ヴィーガン・パルミジャーノ」など論外でしょう。
日本で「パルメザンチーズ」と呼んでいるものは、イタリアのチーズ「パルミジャーノ・レッジャーノ」に由来しますが、それらはまったく別物です。
パルミジャーノ・レッジャーノが現在のようなものになったのは12世紀ごろとされ、このことはボッカッチョの『デカメロン』からも確認されています。
現在のパルミジャーノ・レッジャーノは、指定された原産地で、さまざまな規則に忠実にしたがって生産されたものだけを指します。
当時オボラクトベジタリアンだったわたしが、ローマのチーズ専門店で初めて「本物」を購入して食べたとき、その味に心底驚きました。
ナッツのような芳醇な香りとしっとりした食感、いままで「パルメザンチーズ」として食べていたのはいったい何だったのか。
日本の「パルメザンチーズ」なるものはパルミジャーノとは別物で、あえて言えば「顆粒のチーズ加工品」というところではないかと思います。
ですので、アーモンドとニュートリショナルイーストで作ったこのチーズもどきに「パルミジャーノ」などと命名するのは、あまりに不遜な行為に思えます。
実際、イタリアのサイトでもこうした意見が散見されます。
ですが、このレシピは日本語で書いているので、かっこ付きで見逃してもらいましょう。
ヴィーガン「パルミジャーノ」 レシピ
準備5分 調理1分
材料(10回分程度)
素煎りアーモンド 40g
ニュートリショナルイースト 20g
準備
小鍋に水を沸かしアーモンドを30秒ほど茹でる。
ざるにあげてアーモンドをつまむと、つるっと皮がむける。
そのまま少し乾かしておく。
手順
- アーモンドを5ミリ角程度に刻む。
あらかじめ刻んでおかないとパウダー状になりにくい。 - ミルミキサーにかけて粉末状にする。
- すっかり粉末になったら、ニュートリショナルイーストを加えてさらにミルミキサーで混ぜて出来上がり(塩は入れません)。
メモ
- アーモンドとカシューナッツを半々にしてもいいです。
- 小瓶などに入れて冷蔵庫で保存すると、半月程度は風味が変わらずに楽しめます。
- ニュートリショナルイーストは、植物性食品に含まれていないビタミンB12が添加されているので、日々の食事でこまめに摂るようにしてください。
KALニュートリショナルイーストが一番おいしいと思います。
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献立のヒント
パスタ料理、ミネストローネなどにかけてください。